2014初夏、6月 まちにまった、プール開き。 チャプチャプと気持ちよさそうに泳ぐみんなを、あきらはつまらなさそうに見ていた。 「あきら〜。あきらは、入らないのか?」 「なんだよ、生理か?」 夜流と透が、交互に声をかける。 二人とも、プールの中だ。 夜流は、水を梳くって、それをパシャンとあきらにかけた。 「つめて!かけるなよ!!」 「ははははは!」 「俺さ・・・・ダメ、だって。前に健康診断、受けたっていっただろう。心臓にちょっと異常見つかって・・・・」 「マジかよ」 「おい、大丈夫なのかあきら!?」 「あ、うん。別に、私生活には問題ないって。でも、水泳はだめだって。あと、持久走とか・・・とにかく、体力使ったり、激しい運動は心臓に負担がくるからって・・・・ドクターストップ」 あきらは、本当に残念そうにしていた。 「俺も、プール入りたい」 「ようは、激しく泳いだりしちゃいけないんだな?」 「うん、そうだけど・・・・」 夜流は、あきらを手招きした。 そして、自分のバスタオルを持ってくると、プールサイドに置く。 「夜流?」 「ここに、座ってろよ。これなら、ぬれないだろ。足の先、プールの中にいれるくらいは、平気だろ?」 「うん、ありがとう」 あきらは、「天使の微笑」とクラスメイトが名づけた桜満開の笑顔を咲かせた。 ******************************** パシャパシャと、膝から下だけをプールの中にいれて、遊ぶあきら。 「おい、夜流・・・・鼻血、垂れてるから。プールからあがっとけ・・・・」 「おー・・・・・俺、あきら見て鼻血流したの、これで何回目だ、透?」 「んーとな・・・・12回目だ」 「そうか。ふふふ、よく貧血にならないなぁ、俺」 「お前バカだからな。体力だけはありそうだし」 「そうですか・・・・ (>'A`)>ア゙-ッッ!!・・・・」 ********************** 夜流は、あきらの側にやってくる。鼻血はもう止まったけど、念のためもう少し休憩するように、教師から言われた。 「あきら・・・・楽しい?」 「うん、すっげー楽しい」 パシャパシャと水をはねとばして遊ぶあきらは、あどけなかった。 ツインテールが風に揺れる。 紫紺のリボンを今日はしていた。 「あ、そのリボン、俺があげたやつ・・・」 「うん。母さんも、気に入ってるんだ。マナが彼氏からプレゼントもらったってすっごい嬉しそうだった」 「そっか。よかったな」 「うん。俺も気に入ってるよ?」 守りたいと思った無邪気なあきらの笑顔がそこにある。 夜流は、心があったかくなるのを感じていた。 「今度、俺んちでビニープールはいる?」 「え、なに、夜流んち、そんなのあるんだ!?」 「おう。あー、でもそうすると、あきらが男の子だってばれて、両親目玉飛び出すかもなぁ」 「何か、問題でもあるの?」 「いや。俺、両親に将来あきらをお嫁にさんにするくらい真剣に付き合ってますとかいってるから」 「ブッ!!」 あきらはふきだした。 「奇遇だな。実は、俺も母さんに、将来夜流と結婚してあの家に住むっていってるんだ」 「ゲハッ!!」 今度は、夜流がふきだす番だった。 NEXT |