2014夏、8月。 夏休み。夏期講習も終わり、あきらと夜流は透や哲、マサキと一緒に毎日遊んだ。 普通にゲーセンにいったり、カラオケにいったり。 そんなある日、透の実家でスイカがたくさん送られてきたというので、皆で食べにいくことになった。 「まぁまぁ、みんなよく来てくれたわね。あがってちょうだい」 透の母親は快く迎えてくれて、すぐにスイカが切り分けられ、夏の蝉の声が聞こえる中、冷房をきかせた部屋から移動して、縁側でみんなはスイカを食べた。 「秘儀、スイカ食い!!!」 哲はスイカをとくにかく早食いしだす。 「次!」 種ごと食べまくる。 「次ぃ!」 スイカはまだまだある。 「つぎぃいいいい」 「おい、哲やめとけって・・・・腹下すぞ」 透が心配して止めるが、哲は止まらない。面白そうに付き合うマサキは、手拍子までうっていた。 「よ、スイカキング!スイカエンペラー!」 マサキはげらげら笑って、次々と切り分けられたスイカを哲に渡した。 哲は、30分くらいとにかくスイカの早食いを続けただろうか。 「おおう。つ・・・・ぎ・・・・」 パタリ。 哲が、切り分けられていたとはいえ、スイカ丸ごと2個分+半分を食べて、力つきた。 ポテリと力つきた哲を、ワンピース姿のあきらが踏んだ。 「ぐえっ」 「かえるみたーい。おもしろーい」 ふみふみ。 何度も哲を踏んで、哲の反応を見て楽しんでいる。 「ぐええぇぇ」 ふみふみするあきらを、誰も止めない。 夜流は二人を見て、マサキと透と一緒にげらげら笑って、うちわを仰いでいる。 スイカはもう食べ終わって、透の母親が片付けてくれた。 「あら、だめよあきらちゃん。女の子が、そんなはしたない真似しちゃ。下着が見えちゃうわ」 透の母親が、台所から声をかけるが、あきらは適当には〜いと返事しただけだった。 やっぱり、あきらを男の子であると紹介したのには無理があった。見た目と格好のせいで、女の子としてとらえられてしまった。紹介した透は、母親にこんなかわいい子を男の子だなんて、冗談いっても面白くないわと怒られたそうな。 「えい、ふみふみ」 「ぐえぇぇぇえ」 かえるがひしゃげるような声を出し続ける哲。 「マサキー、こっちこいよ」 透がマサキを呼ぶ。そして、何事か耳打ちをして、マサキは笑っていた。 透とマサキは幼馴染でとにかく仲がいい。 ちなみに、正式にあきらと夜流が付き合いだしたことはみんな知っていた。でも、みんな気味悪がったりせず、あきら幸せにしろよなとか、受け入れてくれた。 いい友人をもった。 夜流は、本当にそう思った。 「あ〜き〜ら〜!秘儀、スカートめくり!」 「きゃん!」 哲が起き上がって、あきらのスカートをめくる。 そのリアクションに、哲はまた倒れた。 「あきら・・・・・きゃんってお前・・・・うう、胸キュン死」 「白井哲、ここに永眠」 夜流は、哲の頭をはたいて、哲の前でお経を唱え出した。 「あきらのスカートめくっていいの、俺だけだから」 何気に宣言してます、夜流。 「ぎゃはは、おっかしー」 「マサキ、笑いすぎ」 そういう透もめちゃ笑ってた。 「あきら、おいで」 「ん、な〜に?」 ツインテールの茶色の髪が揺れる。夜流は近寄ってきたあきらの手をとって、自分の膝の上に座らせた。 「夜流?」 「右のリボン歪んでる」 「直して〜」 「はいはい、王子様」 どう見ても、あきらはお姫様だけど。私服はいつも女の子の服だし。 「夜流、明日の花火大会、一緒に行こうね!」 「もち」 夏祭りと花火大会が、明日に控えている。 哲、マサキ、透とも行きたいが、恋人同士でデートするのも大切だ。 「マサキ、俺浴衣着てく!」 「へー。いいじゃん」 「あ、いいな〜。俺も浴衣にする!」 あきらが顔をあげて、早速携帯で母親に浴衣を出してくれるように頼み出した。 「浴衣か〜。俺もきてこうかな」 夜流も迷う。 「うおおおおおおおお・・・・・はらいてええ」 哲は腹を下したみたいで、トイレにかけこんでいった。 NEXT |