2014夏の終わり「新学期」@








夏休みが終わって、2学期がはじまった。
結局、透は哲とマサキの宿題をほとんど一人でやってしまった。あきらと夜流はちゃんと自分で宿題をした。宿題の提出が終わって、何事もなく日常が過ぎていく。

9月のはじめの連休。
「夜流・・・・おまたせ」
いつもの噴水のあるベンチで二人はまちあわせしていた。
デートの約束だった。
何気ない買い物と、それから映画を見て、あとは適当にぶらつく予定だった。
あきらは、今日はとてもかわいい格好だった。キャミソールの上にサマーセーターとリボンがいくつかついたふわふわのスカート。
風に翻るスカートをおさえながら、あきらが歩きだす。夜流は、いつものようにあきらと手を繋いで歩きだした。

その時、急に哲から夜流に携帯がかかった。
「俺。もしもし?哲?どうしたんだ?」
「ちょ、マジ助けてくれ、夜流、あきら!」

マサキと透が、二人だけで旅行に出かけてしまって連絡がとれないらしい。哲はとってもあわてていた。
何せ、哲は土曜の昼から、マサキと透の三人のメンツで、隣の公立高校に通う女子と合コンの予定をいれていたのだ。
それをエスケープするかのようなマサキと透の行動。
まぁ、哲が無理やりマサキと透も出るようにセッティングしたんだけど。
相手の女の子3人は、もうファミリーレストランに来ていて、哲だけ一人で女の子たちはイライラしだしていた。
そこで、哲が藁にも縋る思いで連絡したのは、あきらと夜流だった。
あきらと夜流は、せっかくのデートだというので、急な哲の申し出に断ろうとしたんだけど、哲に泣きつかれて、仕方なくファミリーレストランに向かう。

「お、夜流、あきら、こっちこっち!」
ファミリーレストランにいくと、哲が手をふって大声をあげた。
自然と、女の子の視線がそちらに集中する。
進学校である私立ヨーゼフ学院高等部の二人がくると聞いて、女の子たちは期待に満ちた眼差しで、夜流とあきらを迎えた。

「あたし、月菜(ツキナ)で、こっちが遥(ハルカ)で、こっちが小百合(サユリ)ね!よろしく!」
月菜と名乗った少女が、自己紹介をする。
「遥でーす。よろしく」
「小百合よ。よろしくね」
みんな、今時の女子高生だ。
コギャルっぽい私服にちょっときつめのメイク、肌の色は小麦色。
「哲くんの知り合いこないって聞いてがっかりしたんだけど、ちょーラッキー。二人ともレベルたか〜い。っていうか、ほんとにこっちの子、男の子?うちらより美人でかわいいんですけど〜」
小百合が、席にすわってそわそわしているあきらの手を撫でる。
びくっと、あきらは手を引っ込めてしまった。

あきらの格好は、今はキャミソールの上からサマーセーターを着ていて、半ズボンをはいていた。黒のハイソックに、黒のロングブーツ。ほんとは、ふわふわのスカートをはいていたけど、すぐ近くの店で急いで半ズボンを買ってそれにはきかえた。ズボンという選択肢は、あきらは思い浮かばかかった。ズボンだと、そのままの格好で帰ると母親が怒るせいだ。
あきらは、どこからどう見ても、美少女にしか見えない。
でも、化粧は一切していない。
髪はツインテールでいつも通りだ。

哲は、あらかじめやってくる一人は、ちょっとファッションが女の子っぽくて中性的な子だと説明していた。

「俺が夜流で、こっちがあきら」
「よろしく・・・・」
あきらは、ソフトドリンクを頼んで、夜流の隣に座って、落ち着かないようだった。
いきなり、合コンに誘われるなんて思ってなかったし、同じ年代の女の子と離す機会なんて滅多になかった。

「クォーターなんだって?瞳の色明るいね〜。顔立ち綺麗だし・・・・」
小百合が、しきりにあきらにアピールをはじめるけど、あきらは聞いてもいない。
「夜流、おれもバニラアイス頼む」
少し落ち着いたのか、いつものように、夜流に懐いて、夜流と同じ注文をウェイトレスにした。

「哲君、この後どうするの?」
「あー。カラオケでもいく?」
「あ、それいいね」
みんなが賛成しだす。

とりあえず、みんなで趣味やら好きな音楽、芸能人とかさしさわりのない雑談をしていた。
夜流も、哲の面子をつぶすわけにはいかないので、仕方なくそれに付き合う。あきらは、一人黙りこくっていた。
「あきらくん?どうしたの、緊張してる?」
「あ、うん・・・・」
あきらは、頬を紅くして俯いた。
「かっわいー。アンティークドールみたい。お持ち帰りしたーい」
「ちょ、小百合目がまじになってる。やばいって」
「夜流君だっけ。メアド教えてくれない?これ、あたしのアドレス」
月菜は自分のメルアドを夜流に渡す。
夜流も、仕方なく自分のメルアドを教えた。

そのまま、ファミリーレストランで軽食をとった六人は、カラオケにいくことになった。





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