「あきら、あきら」 夜流は、あきらの携帯に電話をかける。 「ん・・・・夜流?今何時だとおもってんだよ・・・・」 あきらは、携帯に出てくれた。 少なくとも今は無事であると知って、夜流は安堵する。 「なぁ、最近私生活の周りで変わったことないか。その誰かにつけられてるとか誰かの視線を感じるとか」 「何いってんのお前?俺の隣にはいっつもお前がいて、俺が先歩くとお前がつけてきて、お前の視線がいっつも俺に注がれてる」 「そうじゃなくって!!」 「んー。眠い」 「あきら・・・・守るから」 「なにぃ?聞こえない・・・眠くて、今すぐ意識がブラックアウトしそう・・・」 「守る、から。絶対に、お前を」 あきらにかけた携帯を切る。 あきらは本当に眠そうで、会話の途中で眠ってしまったようで、すーすーと静かな寝息だけが聞こえて、夜流は携帯を切るしかなかった。 あきらが狙われている。 それに、明人の言っていた言葉では、透まで。 自分が狙われているのかどうかは分からないが、あきらだけでなく透も守らなければ。 夏樹明人から。 夜流は、その日、一睡もできなかった。 それから、次の日学校にいくと、あきらと透に身辺に注意するよう呼びかけた。 「あん?あきらなら分かるけど、なんで俺まで?」 透は首をかしげていた。 その日の学校の帰り、夜流はあきらをともなってある店によった。 そこで、防犯ブザーを買う。 もちろん、あきら用だ。 「夜流・・・・どうしたの、こんなもの俺にわたして」 「あ、うん。これからの季節、ちかんとか増えてくるだろ。だから、持っておいて損はないから。24時間、お前の側にいられるわけじゃないから」 ほんとは24時間側にいて守りたいんだけど。 でも、どうしても無理がある。 ************************** 「明人さん・・・・あんまり近づきすぎると、気づかれますよ」 助手席に学を乗せていたその黒の車は、あきらと夜流のあとをつけるように、ゆっくりと停止した。 「しばらくみないうちに、随分綺麗になったなぁ、あきらは。我が息子ながら、めちゃくちゃに壊したくなる」 「昔、何度も壊したんでしょう?で、全部の記憶忘れ去って・・・・なのに、また壊すんですか?あきら、ほんとに壊れちゃいますよ。精神的な意味で」 「それは、もったいないなぁ」 明人は、車を市内のパーキングエリアに向けて走らせ始めた。 「ほんと・・・・明人さんの愛って、歪んでますね」 「そういう学も、俺についてくるあたり、歪んでるだろう」 「はは・・・・否定できませんね。実の息子を性的に虐待した明人さんに、あきらの代わりに抱かれてるんだから。代用品って分かってて抱かれる僕も、壊れてるんでしょうか」 パーキングエリアについて車を停めると、明人は学の顎に手をかけて、唇を奪う。 「明人、さん・・・・」 黒いスーツの背に這わされる、学の手。 それを見ながら、明人は唇の端を吊り上げた。 「学・・・・愛してるよ」 「えっ」 そのままパーキングエリアに停めていた車をまた走らせ、あるラブホテルに入っていく。 「明人さん」 驚く明人を車の外に連れ出し、ホテルの一室に入ると、ベッドに押し倒す。 「や・・・だめ、優しく・・・・僕は、まだ壊れたくありませんから」 優しくと懇願しても、明人はいつも学を激しく抱く。 そう、レイプされているのかと思うくらいに。 「学・・・・愛してる・・・」 「んっ」 くちづけに反応する顔立ちの整った少年に、明人はまた唇の端を吊り上げた。 今は、これで我慢しよう。 俺の子羊は、すぐ壊れてしまうから。 どうせなら、派手に壊してしまおう。 なぁ 愛してるよ あ き ら NEXT |