「ずっと側にいれたら」







「あきら、あきら」
夜流は、あきらの携帯に電話をかける。
「ん・・・・夜流?今何時だとおもってんだよ・・・・」
あきらは、携帯に出てくれた。
少なくとも今は無事であると知って、夜流は安堵する。
「なぁ、最近私生活の周りで変わったことないか。その誰かにつけられてるとか誰かの視線を感じるとか」
「何いってんのお前?俺の隣にはいっつもお前がいて、俺が先歩くとお前がつけてきて、お前の視線がいっつも俺に注がれてる」
「そうじゃなくって!!」
「んー。眠い」
「あきら・・・・守るから」
「なにぃ?聞こえない・・・眠くて、今すぐ意識がブラックアウトしそう・・・」

「守る、から。絶対に、お前を」

あきらにかけた携帯を切る。
あきらは本当に眠そうで、会話の途中で眠ってしまったようで、すーすーと静かな寝息だけが聞こえて、夜流は携帯を切るしかなかった。

あきらが狙われている。
それに、明人の言っていた言葉では、透まで。
自分が狙われているのかどうかは分からないが、あきらだけでなく透も守らなければ。
夏樹明人から。

夜流は、その日、一睡もできなかった。
それから、次の日学校にいくと、あきらと透に身辺に注意するよう呼びかけた。
「あん?あきらなら分かるけど、なんで俺まで?」
透は首をかしげていた。

その日の学校の帰り、夜流はあきらをともなってある店によった。
そこで、防犯ブザーを買う。
もちろん、あきら用だ。
「夜流・・・・どうしたの、こんなもの俺にわたして」
「あ、うん。これからの季節、ちかんとか増えてくるだろ。だから、持っておいて損はないから。24時間、お前の側にいられるわけじゃないから」
ほんとは24時間側にいて守りたいんだけど。
でも、どうしても無理がある。

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「明人さん・・・・あんまり近づきすぎると、気づかれますよ」
助手席に学を乗せていたその黒の車は、あきらと夜流のあとをつけるように、ゆっくりと停止した。
「しばらくみないうちに、随分綺麗になったなぁ、あきらは。我が息子ながら、めちゃくちゃに壊したくなる」
「昔、何度も壊したんでしょう?で、全部の記憶忘れ去って・・・・なのに、また壊すんですか?あきら、ほんとに壊れちゃいますよ。精神的な意味で」
「それは、もったいないなぁ」
明人は、車を市内のパーキングエリアに向けて走らせ始めた。
「ほんと・・・・明人さんの愛って、歪んでますね」
「そういう学も、俺についてくるあたり、歪んでるだろう」
「はは・・・・否定できませんね。実の息子を性的に虐待した明人さんに、あきらの代わりに抱かれてるんだから。代用品って分かってて抱かれる僕も、壊れてるんでしょうか」
パーキングエリアについて車を停めると、明人は学の顎に手をかけて、唇を奪う。
「明人、さん・・・・」
黒いスーツの背に這わされる、学の手。
それを見ながら、明人は唇の端を吊り上げた。

「学・・・・愛してるよ」
「えっ」
そのままパーキングエリアに停めていた車をまた走らせ、あるラブホテルに入っていく。
「明人さん」
驚く明人を車の外に連れ出し、ホテルの一室に入ると、ベッドに押し倒す。
「や・・・だめ、優しく・・・・僕は、まだ壊れたくありませんから」
優しくと懇願しても、明人はいつも学を激しく抱く。
そう、レイプされているのかと思うくらいに。

「学・・・・愛してる・・・」
「んっ」
くちづけに反応する顔立ちの整った少年に、明人はまた唇の端を吊り上げた。

今は、これで我慢しよう。
俺の子羊は、すぐ壊れてしまうから。
どうせなら、派手に壊してしまおう。

なぁ
愛してるよ あ き ら






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