2014秋「文化祭」@







2014秋10月。

文化祭の季節がやってきた。
「あきらー、こっち手伝って」
「透、こっち手伝ってくんない」
「夜流、打ち合わせのメンバーが足りないんだよ。ちょっと頼むわ」
あきらも夜流も透も、文化祭の準備に大忙しだ。
男子学部と女子学部合同の文化祭とあって、規模も大きい。
すでに、いろんなイベントが用意されているけど、それにかかる費用もけっこうなもので、まぁ私立ならではか、費用の捻出は問題なく、いろいろクラスの催しものによってそれぞれ派手な看板やら飾り付けがされられていた。
ちなみに、あきら、夜流、透のクラス1年B組の出し物は喫茶店。
ごく平凡なものだろう。
隣のクラスはお化け屋敷、ビデオ鑑賞会から映画鑑賞会からなぜか勉強会まである。
勉強会なんて、誰も入らないだろうに。
多分、企画したのは教師だろう。
ちなみに、強化は歴史だそうな。

「なーんかなぁ。喫茶店ってのはいいんだけど・・・・上の2年と被るんだよなぁ。もっとなんか、ちょっとぱっとしったもん思い浮かばないか?ペット喫茶とか・・・」
「ペットは無理だろ・・・・」
クラスメイトの視線が、作業を終えて戻ってきたあきらの揺れるツインテールに注がれる。
「ツインテール喫茶なんてどう?」
「なんだよそれ。全員でかつらかぶれってか?女子と合同っていっても、校舎が違うんだぞ。女子は遊びにくるだけで、手伝いになんかきてくれないぞ!!」
最もな意見に、みんな押し黙る。

「もうさ、いっそのこと女装喫茶とかどうだ?くじでひいたやつが、メイドの格好してさ」
「それなら執事喫茶とかどうよ。くじでひいたやつが執事の格好」
ざわざわ。
クラスメイトの中で、実行委員が集まる。
「それ、採用」
「え、どっち?」
「執事喫茶は残念ながら、3年が出すことになっている。メイド喫茶採用」

「おーー」

みんな、感嘆の声をあげるけど。
「でも、誰がメイドになるんだよ?くじでひくっていっても、あんまりにも化け物みたいだと、客入ってくれないぞ!!そりゃ、お笑いで何人か化け物みたいなのも欲しいけどさぁ」
「そうだなあ」
「夜流、そっちの端もって。そうそう、そのまま運ぶよ〜」
「透、これはこれでいいのか?」
悩んで輪になっている男子の前を、あきらと夜流が飾りつけの看板を持って歩いていく。
その背後では、透が打ち合わせから帰ってきた友人とミスがないか書類をチェックしている。
「なぁ。俺らのクラスには」

「あきらと透がいた!!」

シーン。
静まり返る室内。
ゴンと看板を頭の上にあきらは落として、頭を撫でている。
透はすっごい間抜けな顔をしていた。「え、何々!?」
あきらは看板をとりあえず床においた。
透は、持っていた書類を破いた。
「ああ、その企画書、予備ないのに!!」
実行委員の一人が、透が破いた書類を拾いあげる。

「反対!俺反対!!」
透の剣幕はすごいものだった。
「あきらは?」
みんなの視線があきらに注がれる。
私立ヨーゼフ学院高等部の1年に在籍している美少年といえば、あきらと透と夜流が有名だ。
「え、俺?夜流と一緒なら、やっていいよ!」
にこっ。
そう微笑まれて、みんなじりじりと夜流につめよる。
「ちょ、冗談だろ!?」
夜流は、汗を流して後退するけど、すぐ壁にぶつかった。
「あきらがいれば・・・・あきらさえいればもう怖いものなしだ・・・透は実行委員だから、決まれば100%やるしかない・・・・・あとは・・・・夜流、お前だけだ!!」
ビシッっと、いくつもの指が夜流につきつけられる。

「冗談だろ?ほら、俺176もあるし・・・メイドなんてにあわねぇって」
「夜流と一緒じゃなきゃ、俺メイドの格好しない」
ツーンと、あきらがそっぽを向く。

「おい、女子学部も確かメイド喫茶するクラスが2つあるんだったよな・・・・即効いって、予備の服かりてこい!」
「ラジャ!」
実行委員長が、眼鏡をくいっとあげる。
実行委員のメンバーたちが、走り出す。

「なぁ・・・冗談だろ?誰か、冗談といってくれえええ!」
夜流の絶叫と一緒に透も絶叫した。
「なんで俺がメイドなんだよ!あきらだけでいいじゃん!!」
ちっちっちと、実行委員長は指を顔の前で。

「あまぁぁぁぁぁい!女子学部でも人気のあるあきら、夜流、透!この逸材をこのクラスは持っている!それを活用しない手があるかあああ!!
「そうだ!!」
「そうだそうだ!!」
みんな、もう決まったこととばかりに。

こうして、あきら、夜流、それに透までがメイド喫茶のメインメンバーになることになった。あとの5人はくじで負けたやつら。
くじでまけた奴らは、男泣きしていた。
いつも女装しているあきらはともかく、夜流も透もその輪にまじって男泣きしていた。



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