「まー透・・・・お母さん悲しいわ。透にそんな趣味があったなんて」 早速やってきたお客さん・・・・透の母親は、透の格好をみてホロリと涙を流したふりをする。 「ちょ、違うから母さん!無理やりこの格好させられたんだってば!俺は!」 「あら、あきらちゃんかわいい。夜流くんも似合ってるわぁ。オレンジジュースをお願いね。あとクッキーを」 「聞けやあマイ、マザアアーー!!」 透は、またヤンキー座りをしてシガーレットチョコを食い始めた。 客はどんどん入ってくる。 メイドになったあきらと夜流と透以外で、呼び込みにいった学以外もせわしなく働いている。 ウェイターになった他の男子生徒もだ。 とになく、あきらの指名率がNO1。次に透、夜流と続く。 あきらと夜流とヤンキー座りしていた透も、思った以上の客の入り具合に忙しそうに働く。 ちなみに胸にパッドまでいれて、本格的な女装だった。 「なあ、彼女なんて名前?」 スカートの端を掴まれて、あきらは声をあげそうになった。 違う学校の男子生徒だった。 ここが女装喫茶であると分かっているらしいけど。 「離せよ!注文の邪魔!」 「いいじゃん。俺と携帯のアドレス交換しようぜ。暇になったら、俺とまわらない?」 連れらしい友人も、あきらを口説き出す。 「きゃん」 尻を撫でられて、あきらは声を出してしまった。 「可愛い声〜。俺とつきあわね〜?このスカートめっちゃすごいな。どうなってんの?」 ふりふりのスカートを捲られた。 「やん、捲るなよ」 「うわ、腰にくる声してるなこの子・・・・やべ、おれたちかけた」 「俺も」 「離せよ、しつこいなっ!触るなよ!」 ちなみに、むこうでは、透まで口説かれている。 ザッザッザ。 紅茶を女性客のテーブルにおいた夜流は、まず透を口説いていた客の頭をトレイで思い切り殴ってから、次にあきらをしつこく口説き続ける男子生徒二人のの頭を、トレイの角で殴った。 「なにすんだよ!」 「おさわりは、禁止です、ナンパも禁止です・・・・だっつーのガルルルルル!!」 夜流は切れかけていた。 したくもない女装の上に、恋人が目の前で口説かれても忙しくて守ってやれない。 「うわ、ちょっと!」 「ガルルルルル!!」 べしべしとあきらを口説いていた男たちを叩く。 男の一人が、夜流の手をとった。 「君もかわいいなー。ハスキーな声してるけど・・・・モデルみたいに背が高いし金髪よく似合ってるね」 さわり。 服ごしに臀部をさわられて、完全に夜流は切れた。 「死にさらせ!」 男子生徒を軽くだけど、蹴り飛ばした。 「ちょ、夜流!はいはい、お客さん、出てってね。あんたらが悪いんだから」 実行委員長が、二人の男子生徒を友人と一緒に教室からつまみあげて、ぺっ廊下に捨てた。 「ちくしょ、おぼえてろー」 「サービス悪いなー!」 「大丈夫か?あきら」 「うん」 やっと休憩時間になった。 二人とも、透と一緒に一息つく。 紅茶を飲んで、クッキーを食べる。 それから、夜流があきらを膝の上に乗せて、後ろから抱き締めた。 無論、メイド姿のままだ。 バックヤードには今、あきらと夜流と透の三人しかいない。 「あー。ほんと百合っぽいわ」 「言っとけ、バーカ。こんな男らしい俺のどこが女にみえるってんだ」 夜流は不満そうだった。 「あきら、ちょっとこっちこいよ。おれの隣に並んで、俺の真似して」 二人で、かわいい女の子のポーズをとる。 「はぁはぁ・・・・」 夜流は変な息遣いをはじめた。 「ちょ、やめろ鼻血出るだろ!お前ら百合だ!」 「だろー。不本意ながら、俺とあきらでも百合に見えるんだ。お前とでも百合にみえる。とにかくあきらが似合いすぎて・・・・」 「そりゃ似合うに決まってるだろ、このデザイン選んだの俺だもん!」 あきらは威張る。 いや、それ威張るようなことじゃないんだけど。 それから、教えられた目を潤ませて上目遣いで少し小首をかしげてのぞきこんでくるという仕草をした。 「「かわいいからOK」」 透も夜流も、あきらのかわいさにノックアウトされるのだった。 NEXT |