「風邪」B







R15
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母親と父親の血液型なんて、夜流は知らない。
どうでもよかったし、自分の血液型だけB型っていうのは知ってたけど、日常生活にいる知識でもないし。
多分、母親と父親のどっちかがB型かAB型なんだろうって、ずっと思ってた。

夜流は、12月生まれだ。あきらは3月生まれ。

少年同士の、同性愛の上に、実の兄弟で近親相姦?
そんな言葉が頭に浮かんで、また消えていく。

だめだ、考えるな。
これは、明人がはった罠だ。むざむざ、罠と知ってそれにはまることはないだろう。
これは、罠だ。

夜流は、怒られるのも承知で、父親の勤めている小学校に電話をいれる。そして、父親に血液型を尋ねると、O型という答えが帰ってきた。母親は?と尋ねると、沈黙が返ってきた。
それから、また油を売っているのか、すぐに帰ってきなさいと怒られた。
「帰れるかよ・・・あきら残して」
夜流は、あきらのベッドに入り込んで、熱で朦朧としているあきらを抱きこむ。
「あきら・・・・・」

もしも、あきらがこの事実を知っていたとしたら?
その上で、初めから俺に近づいてきたのだとしたら?

ゴロゴロを寝返りをうっていると、そんな馬鹿げた考えが浮かんで、夜流はすぐにかき消した。
あきらに、そんな明人のような卑怯な真似ができるはずがない。
自分と半分血が繋がる実の兄弟だったら、兄として慕ってくるはずだ。家族愛に飢えているあきらは、絶対そうするだろう。
「んっ・・・夜流!」
抱きついてきたあきらを、夜流は荒れた凶暴な心で、ベッドにぬいとめる。
「夜流・・・・くる、しい・・・」
乱暴にキスをして、あきらのかぶっていた毛布をはぐと、パシャマの下を下着ごとひきおろす。
「ん・・・何・・・するの?」
そのまま、あきらの蕾を解すこともなく、潤滑液を使うこともなく、中に押し入ろうとする。
「んあっ・・・いた、痛い、痛い、夜流、痛い!!」
あきらは目を見開いて、大きく喘ぐ。
「だ、め、そんな、痛いっ!!」
クチュリと、先端だけあきらの中にいれて、揺さぶった。
「あ、あ、あ!!」
あきらの額から、冷えピタシールがとれて、枕の上に転がる。
ベッドで後ろから入り口だけ犯されて、あきらはそれでも夜流に手を伸ばして、夜流の体に触ろうとする。
「あ、あ、うあっ!!これ以上は、むりっ!はいら、ないっ」
これ以上乱暴に中に突き入れたら、あきらの狭い入り口は切れて血をたくさん流すだろう。
グチグチと、もう一度入り口だけを犯して、あきらの体をひきよせて、熱にうなされるあきらの口に手をつっこんであきらの舌を指で嬲った。
「あ・・・・よ、ルゥ・・・・・」
あきらの中でいかず、外でいった。
すぐにあきらの衣服を下に戻し、布団と毛布をかける。

「よ、る・・・・怖い、顔してる・・・・そんな顔、しないで・・・・」
すりっと擦り寄ってくるあきらをそのままにして、夜流は、はじめて、あきらと過ごしはじめて、はじめて、双眸から涙をこぼした。
ポタポタと、それはあきらの頬に滴る。
あきらは目をあけて、夜流の頭を胸に抱きこむ。
「泣かないで、夜流・・・・俺が、側にいるから・・・・」
「ち・・・くしょう、ちくしょう、ちくしょう!!あきら、あきら!!」
涙腺がぶっ壊れたように、涙が止まらない。

あきら。
誰よりも大切な親友で、俺の恋人。

狂いだした軸は、もう、止まらない。
恋人になってしまったことで、もう軸は大きく狂っている。
今更、元には戻れない。

「ちっくしょおおおおお」
夜流は、あきらに抱き締められて、嗚咽をこぼし、あきらと一緒に意識を放り出して眠りの海に旅立った。

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「少年愛は、実は兄弟同士でした」
高級ホテルの一室で、明人は面白そうにタバコをすって、吐き出す。
「なぁ、最高のシナリオだと思わないか、学」
「そうですね。シナリオとしては、当事者の二人としては、それが本当なら、最悪でしょうね」
ベッドの上でガウンを着て寝そべっている愛人の息子に、煙をはくと、学は咳き込むこともなく、明人からタバコをうばうと、それを思い切り肺に吸い込んだ。
「肺がんになるぞ」
「これだけで?なりませんよ・・・・」
乱暴に学をベッドに押し倒して、明人は夜流が悔しさに顔を歪めるシーンを妄想する。それだけでたってきた。
あきらほどじゃないが、綺麗な顔立ちをしていた。さすが、俺の血を引いているだけある。

明人は秀麗な容姿をしている。
あきらよりも、夜流のほうが、明人に似ている。あきらは、母親の瑞希似だ。

「さて、楽しくなってきたなぁ」
明人は、悪魔のように笑うのだった。



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