「誕生日と告白」








12月10日。
如月夜流のバースデー。誕生日だ。
コチコチコチと時計が日付をかわったことを知らせるボーンボーンという音が聞こえた。
「んっ・・・夜流、誕生日おめでとう」
激しいSEXの余韻もそのままに、涙を流してあきらがネコミミの姿で夜流のバースデーを一番早く祝った。
「あー。今日、俺の誕生日か〜」

「プレゼントは?」
「即効それかい!」
あきらが夜流の頭をはたく。
「何がいい・・・・時計とか・・・お揃いのペアリングとか?」
「おーそれいいな」
「どれが?」
「お揃いのペアリング。今度買いにいこうか」
「でも、それじゃあ夜流の誕生日すぎちゃう。プレゼントが・・・・」
「いえ、もういただきましたので。ごちそうさま」
真っ赤になって、あきらはシーツを被った。
「シャワー、一緒に浴びるだろ?」
「うん」
すねても、シャワーは一緒に浴びたい。ゴムをつけていないので、中の体液をかきださないといけないし。

*******************************

12月10日ははじまったばかり。
それで、朝になったんだけど。
「あきら?学校は?」
「ん・・・・いきたいけど、腰が・・・」
あきらが何を言いたいのか分かった。
いつもは休日の土曜にSEXをするので腰が痛くなっても平気だけど、昨日は平日の夜だ。
そのまま、いつものように激しいSEXをしたら、そりゃ腰だって痛くなるだろう。
「今日は・・・・休む。連絡もいれない。めんどうだから」
綺麗なシーツにはりかえたベッドで、パジャマ姿のあきらは欠伸をした。
「昨日、夜流ってばしつこかったし・・・シャワールームでも盛ってきたし。少しは俺の身にもなれってんだ年中発情期ヤロー」
「ごめんな」
夜流が、サラリとあきらの髪をすくって優しくキスをした。
「べ、別におこってねーよ」
「うん、知ってる・・・・」

「今日は、俺もサボるわ」
「ええ!?」
「つまんないだろ?家に一人だと」
「そりゃそうだけど・・・でもいいのかよ。内申とか」
「すでに、お前に付き合ってよく早退してる時点で内申とか気にしてません」
「なんだよそれー」
ふてくされるあきらを無視して、あきらのベッドの中にまたもぐりこむ。
一度はブレザー制服に着替えた夜流であったが、ブレザーの上だけ脱いでソファーに投げると、あきらの寝ているベッドにいつものように寝転がる。
「もちっと奥いけよ」
「なんだよ、このベッド俺のだぞ!」
「はいはい。誕生日は恋人と過ごす・・・・これも、一種のそういうのじゃね?」
夜流が苦笑してあきらをみると、あきらはボンと顔を噴火させて毛布のなかにもぐりこんだ。
「あきら?」
「うっせーよ。大人しく寝ろ!」
「俺な、あきらに言ってないことがあるんだ」
「何が。水虫だとか?」
「違う」
「こっち向いて」
あきらの頬に手をかける。

「俺たちな・・・・半分血を分けた、実の兄弟なんだって」

「はぁ?何それ。なんのギャグ」
「俺の母は、妊娠したまま俺の父親と結婚した。かつて付き合っていた男の名前は夏樹明人」
「面白くねーって」
「ギャグでも、なんでもない」
「・・・・・・本気?本当の、こと?」
「ああ。お前が、嫌だったら、俺ら別れても」

「今更、そんな卑怯なこというなよ!俺がお前から離れられると思ってんのかよ」

「思ってない。俺も、お前を捨てない。でも、お前が本気で俺と別れたがったから、別れようとも考えてた」

「自分勝手なんだよ!!」


あきらは、夜流にまくらを投げつけた。
「あきら。泣くなよ」
「泣いてなんかいねぇよ!」
「泣くな」
あきらの顔を胸に埋めて、夜流は窓から見える少し曇った空を見上げた。

「俺たちはもう、運命共同体だ。生きるも死ぬも、一緒だから」

今覚えば、それは懐かしい台詞だった。
あきらがいなくなるなんて、考えたこともなかったあの頃。




NEXT