「二人で歩き始める」D







あきらは、涙をいっぱい零して、それでも無理に笑っていた。
茶色の瞳が、懐かしそうに夜流を見上げてくる。
「あきら?記憶が・・・・戻ったのか?」
「うん・・・・でも、多分今だけ。きっとまた忘れる。確信できないんだ。このまま、覚えておけるかどうか」
「それでも、俺は」
あきらに歩み寄って、あきらを抱き締める。
ぎゅっと、力をこめて。
「それでも、俺は、何があってもお前を選ぶ」
「夜流・・・・」
あきらは、夜流の腕の中で逡巡する。
「俺を捨てても、いいんだよ?」
耳元で囁かれた言葉に、夜流は大声で叫んだ。
「できるかよ!無理だ!!」
「でも、このままじゃ夜流が・・・・」
「いいんだよ。俺のことはどうでもいいんだ。お前といるって決めたんだから」
「俺に、愛されなくても?」
「お前は、俺を愛してくれる。絶対に」
ぶわっと、あきらの視界が涙で歪む。
「なんだよその自信・・・・どっからくるんだよバカヤロー・・・・」
ドンドンと、力のないあきらの手が夜流の胸を叩く。
「このままでいたいよ・・・ずっと覚えていたいよ・・・夜流のこと、忘れたくないよ!!!」

あきらは、目を閉じた。
夜流も目を閉じた。

「んっ」
あきらに触れるだけのキスをしたあと、そのまま二人はベッドに倒れこむ。
「抱いていい?」
「抱いて・・・俺が忘れないように・・・・」
「愛してる」
「スキ・・・」
陳腐な恋愛ドラマのような台詞。でも、二人にとってそれ以上の言葉はない。
真実だから。愛し合って、そしてお互いのことが大好きだから。飾らないありのままの言葉を伝える。

「くうん・・・・夜流、もう立ってる。・・・熱いよ、ドクドクいってる・・・・」
あきらは喉を鳴らし、服の上から夜流の滾ったものをそっと握りしめる。
「あきらにこういった意味でふれるの、2年以上ぶりだから・・・・」
「くふ・・・・」
舌を絡み合わせて、そのままどちらが上か下かも分からないままもつれあう。
「ふあ・・・・」
唾液が銀の糸をひいて舌と共に遠ざかっていく。
「夜流・・・・変わったね・・・・大人、だ」
上の服も下の服も下着まで脱いでしまった夜流の肉体は、綺麗に筋肉がついて、大人の男性の体になっていた。あきらの体は、2年前から時をとめたかのように、ずっと変わらない。
髪だけが長くなった。
染色体XXY。それがあきらの成長を邪魔している。
このままずっと、あきらは変わらないだろう。
あきらの服を全部脱がせて、夜流はキスと愛撫を降らせる。
「ん・・・・く・・・・」
縮こまるあきらの体を、夜流は体を張って制する。
「全部見せて・・・・あきら」
「やだっ・・・恥ずかしい」
「俺はあきらの全部を知ってる。今更恥ずかしがるな。大丈夫だから。綺麗なままだよ」
「男に綺麗だとか・・・ありえない」
「だって、あきらは本当に綺麗だから」
西洋人形のようで。
クォーターやハーフは美しい容姿を持つ。あきらもドイツ人という白人の血が混ざっているせいで、普通の日本人離れした美貌と色彩、色素の薄さを兼ね備えている。

「噛まないでっ」
あきらの肩に噛み付いていた夜流に、あきらが小さな声を出す。
「痕、つけちゃ、だめぇっ」
「どうして?昔みたいに、体育とかないよ?誰かに見られるわけでもない」
「でもっ」
あきらの口を、唇で塞ぐ。
そのまま、あきらのものを膝でぐりっと刺激すると、あきらはびくんを体を跳ねさせた。
「んー、んう!!」
平な胸を舐るように指でまさぐり、先端を押しつぶす。
「く、んー!!」
舌が抜き去られていく頃には、あきらはぐったりしていた。
「ああ・・・うあああ」
ねっとりした熱が、あきらを包む。夜流の口内に含まれ、そのまま舌でいじられ刺激され、あきらは涙を流して果ててしまった。
透明な、味もないあきらの蜜をペロリと舐め取って、夜流は意地悪く笑う。
「この・・・・エロナイト!」
「エロいよ。男だもん」
「ふあっ」
口の中に少々乱暴に指をつっこまれる。口内を荒らす指に、あきらはたっぷりと自分の唾液で濡らして、そして舌を絡めた。
「くぅん・・・・」
またあきらが喉を鳴らす。
「あきら、エロい・・・・」
「誰の、せい・・・・きゃうん!」
あきらのものに手をかけて、先端にぐりっと強く指を押し入れると、あきらは甲高い声を放った。
「やああう」
いったばかりで敏感になっている時にいじられると、気が狂いそうな快感が全身を走り抜ける。
「ふ、くっ、ああああ」
あきらの唾液に塗れた夜流の指が、内部に侵入してきた。



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