「ん・・・・・・」 ふわりと、いい匂いが漂ってきた。 「あきら!?」 腕の中にあきらがいないのに気づいて、夜流は慌てて部屋を飛び出した。 すると、キッチンルームであきらが朝食を作っていた。 「あきら・・・・」 「おは・・・よう、ナイト」 「ああ・・・・おはよう・・・・」 「ごめ・・・なさい。また、忘れた。ナイトの名前」 「いいよ」 ぐしゃぐしゃと髪をなででやって、エプロン姿のあきらを見る。 「どうしたんだ?朝食、作ってくれてたのか?」 「ん・・・・目玉焼き。作り方、思い出したから」 「そっか」 あきらは、一夜だけの激しい逢瀬をあとに、また元に戻ってしまった。 それでも、夜流は幸せだった。 どんなあきらでもいい。あきらは、あきらなのだから。 目玉焼きといっても、黒こげになってしまったそれを、夜流はおいしそうに食べた。ほんとはとっても苦いけど。 愛するあきらが、自分のために作ってくれたもの。 「ねぇ、ナイト」 「どうした?」 「腰がガクガクする」 「ぶっ」 「ナイト、汚い」 吹き飛んできた目玉焼きの破片をキッチンペーパーでふき取って、あきらは首を傾げている。 「ナイト、知らない?腰と・・・・おしりが・・・・痛い、の」 「い、いや知らない」 夜流はぶんぶんと首を振る。 それを、あきらはじーっと見つめる。 「ナイトあやしい。あなた、何か、した?俺に何か・・・・起きると、腰がガクガクして・・・最初、腰抜かしそうになった」 「いや、気のせいだから」 「今日は、大学は?」 「休みだよ」 「やったー。ナイト、ゲームしよ!格闘ゲーム」 「ああ、いいよ」 あきらは、ふと、口ごもる。 「最近、俺、変なの・・・・」 「何が?」 「ナイト見てると・・・胸が、きゅんってなるの」 夜流は、あきらの腕を引き寄せる。 「ナイト?」 「それ、俺に恋してるんだよ」 「恋?」 「そう。セカンド・ラブ。俺にまた恋してるんだ」 2回目だから、セカンド・ラブ。 「愛してるよ・・・・」 「俺も・・・・ナイト・・・・愛して・・・・んう!!」 突然夜流の元に引き寄せられて、激しいキスを受け、そのまま床に押し倒される。 「やめ・・・てぇ、だめぇっ」 びくんと、あきらの体が強張る。 腰に響くあきらの喘ぎ声。 夜流は自分を止めようと思ったのに、止まらなかった。 激しいキスを繰り返し、エプロンの上からあきらの体を弄るように愛撫する。 「はぁ・・・・俺・・・・変に、なる・・・・ナイト・・・・だめぇっ」 「あきら・・・・・愛してる」 「ナイト・・・・・・腰が痛いの、やっぱりナイトの・・・・」 「さぁ、格闘ゲームしにいこうか!」 頭をきりかえて、夜流は口笛を吹くと、へたりこんだあきらを抱き上げて、あきらの部屋に続く階段を昇るのだった。 そして、いつもの言葉がやってきた。覚悟はしている。 「あなた・・・・・誰?」 夜流は負けない。 「お前の旦那様」 「はへ・・・・あなた、俺の旦那様?あれ・・・俺、結婚・・・してた?」 「ほら、ペアリングしてるだろ?結婚してるんだ俺たち」 互いの指にはまったペアリングを見せ合う。 「あれ・・・・・あれ?」 混乱気味のあきらをそのまま、一緒にいつもの部屋に戻る。 「や・・・何これ・・・ぐちゃぐちゃ・・・・や・・・俺のパジャマ・・・下着・・・ナイトの、服?どうして、一緒にベッドの周りに散乱して・・・・」 昨日、SEXの時に衣服を脱がしあった惨状そのまま。後片付けをしていなかった。酷いオスの香りまでして、夜流は自分で、ためこんでたな〜と心の中であきれ返る。 「さーあきら、いい子は見ちゃだめだ!」 「あなたが、したのではないの・・・・・や、はっ・・・・」 あきらが何か反論しかけるのを、舌を絡めるディープキスで有耶無耶にする。 「頭の奥が・・・・ぼーっと・・・・する・・・・ナイトの、せい」 「うん、はい、ごめんなさい」 夜流は、やりすぎたかとあきらに土下座した。 触れるだけのキスをして、あきらを膝の上に座らせると、しばらく時間を置く。 そして、あきらをソファーに座らせてささっと手早く脱ぎ散らかした衣服とオスの香りが染み付いてしまったシーツを剥ぎ取ると、洗濯機につっこんできた。 「ゲーム!」 あきらが思い出したように、プレイステーション3を起動させる。 「なんでも、好きなゲームしよう。今日は、俺はあきらだけのものだ。いや、毎日あきらだけのものだけど」 「じゃあ、シーマン!」 「え、シーマン?ちょ、そういう選択ありですか・・・・」 最新のシーマンを、あきらはプレステ3に入れて、きもい魚が夜流のほうを見て。 「超絶きもいよお前」 といってきた。 「お前に言われたくねえええええ」 夜流は、シーマンに向かって怒鳴り返していた。 NEXT |