やがて、季節が巡った。 月のものがこなくなり、念願の第1子が藍零のお腹の中に宿ったのだ。 太陽神殿で占ってもらうと、やがてこの真国を安定させる、太陽王と呼ばれる男児が生まれるとのことであった。 二人ともとても喜んだ。 那伊など、毎日藍零のお腹に語りかけてさすってやる。 藍零もまだ平らなお腹をさすり、同じように語りかける。 生まれてくるであろう、愛しい子に。 もう名前は決まっている。真那だ。太陽王となるのだ。きっと、すばらしい青年に成長するに違いない。それが、二人の願いでもあった。 その頃、戦争に明け暮れて王宮を開けていた王が帰還した。 藍零が身篭ったと知って、王太子に子ができると酒を朝から浴びるように飲み干して、使いの者も出さずに、王である那琶王は、藍零の部屋を訪れた。 その頃那伊は、宮殿を開けている王の代わりに大臣などの家臣たちと共に執務を行っていた。 藍零は、喜びのあまり部屋に鍵もかけず、部屋がノックされると笑顔で囁いた。 「那伊、またこの子に会いにきたの?それとも私と両方かな?」 「うぃー。那伊じゃないぞ。王である真国の太陽、那琶王じゃ」 「えっ」 藍零は固まった。 すぐに蒼銀の髪で顔を覆うようにしようとしたが、遅かった。 素顔を見られてしまったのだ。 なんという失態であろうか。だが、那琶王も那伊の父だ。まさか、自分に手を出してくることなどあるまい。 藍零は、作り笑いを浮かべて王を見上げた。 「陽緋(ヨウヒ)だ!太陽の女神がいるとは!」 那覇王は、酔っていた気分もどこにいったのか、藍零に平伏する。 「そんな、王、顔を上げてください。私は那伊の妻の藍零です」 「藍零・・・・美しい。なんという美しさだ。あいつはこんなものを隠していたのか」 「陛下?」 那琶王は、藍零が横になった寝台の上によじ登ってくると、怒張したものを見せた。 「ひっ!いやあああああああああ」 逃げようとする藍零の長い蒼銀の髪を乱暴につかみ、ドレスの裾を割ると、下着を無理矢理はぎとって、怒張していたものを、いきなり藍零の秘所に突き入れた。 「やめてええ!私は那伊の、あなたの子供の妻なのです!やめてくださいい!いやあああ!!」 「子供のものは親のものでもある。そう、王のものだ。この国のものは全てわしのものじゃあああ」 「いやああああああああああああ!!!」 藍零は悲鳴をあげたが、助ける者はいなかった。王に逆らう者など誰もいない。 「いやああ、助けてなああいいいい!!!!」 愛しい那伊の名を呼ぶが、夫は来てくれない。 「どうしてええ!いやああああああ!こんなのいやああああああああ!!!」 那琶王は、藍零が反応をなくすまで犯しつくした。 そして、姿を現した王太子であるはずの那伊を兵士に命じて捕縛させ、塔の一室に監禁した。 那伊が、自分の妻である藍零を父王に汚されたと知って、太陽剣で切りつけ、殺そうとしたのである。れっきとした反逆罪であった。 王の命を狙うなど、通常では王太子であれ死刑ものであるが、那伊の母親である第4妃の願いもあり、死刑は取り消しとなった。 だが、那伊から藍零は奪われた。 藍零は後宮に移され、那覇王の第11妃となった。 そう、幻と呼ばれた両性の第11妃。歴史書には残っていない。 藍零は、那琶王に犯されつくしたことにより自我に支障をきたし、狂った。愛しい那伊がなんとか面会にこぎつけても、いつもうつろな水色の瞳で歌を歌っていた。 大きくなった腹。 臨月を迎えようとしていた。 「ららら〜真那が生まれるよ〜私の愛しい子が〜ららら〜〜」 後宮の一室に軟禁された藍零が、自我を取り戻すことはなかった。 子が産まれても。 NEXT |