雪月の花に散りたもうI







子供のように泣きじゃくって。
それで真麻の心を揺さぶれると思っているのか。泣けば全てが思い通りになるとでも思っているのか。

白桜。白い王。花街の、両性の白い王。

どれくらい泣いただろうか。
水分が欲しくて、泣きはらした目を擦ると、真麻は水の入った硝子瓶をとってくれた。うまく飲み干せなくてむせると、真麻は自分の口に水を含むと、直接白桜に水を与えた。
まるで、砂漠に水が広がっていくような心地。

「んう・・・・はっ・・・・」
水分を与えられてから、唾液が混じりあうくらいの口付けを何度も繰り返した。
せっかく湯浴みをしたというのに、また裸にされて体を開かされる。でも、それが愛しい。それが嬉しい。

ほんとうに、どうかしている。

「白桜・・・・・いつから、月のものを?」
「お前に抱かれてから」
「他の男にも抱かれただろう。たくさんの男に」
蒼い目が、白桜の薄紅の瞳を射抜く。
真っ白な色素のない肌にいくつも痕を残されていく。それが心地よくてたまらなかった。
「・・・・・俺は女の部分で商いはしなかった。遊女ではなく色子として抱かれた」
「――――白桜」

美しい、散っていく桜のような白桜。

「約束しよう。お前を、故郷に連れて行く。落籍して」
「菜春は?」
「菜春も落籍する。金を与えて自由を与える。だがお前は与えない」

「んうっ」
強く押し倒されて、白桜は目を見張った。
「真国の、王位継承権は放棄したとはえ、俺は元をただせばれっきとした王族。その俺の妻になれ。俺だけのものに。お前が望むとおり、俺はお前のものになってやろう。お前だけを見てお前だけを愛してやる」
「真麻・・・・・」
口付けされて、体をさらに開かされた。
びくんと、全身が反応する。
「あっ・・・・」
「もっと感じろ。俺だけを」
「うあっ」
強くつきあげられて、白桜は必死に真麻の背中にすがりついた。
「もっとくれ・・・」
「お前は・・・・本当に、どうしようもない子だ」
「俺はどす黒い欲の塊なんだ。真麻」

小刻みに刺激を与えられて、シーツを足で蹴った。
「んあっ」
桜色の髪が宙を舞う。
激しく何度も突き上げられて、白桜の花茎は完全に反応してしまい、薄く真麻は笑うと花茎に爪をたてた。
「あーーー!!」
びくんと、全身がこわばる。
真っ白い波に襲われたかとおもうと、足を肩に担がれてぐっと奥に精を注がれて、そのまままた真っ白になった。

「あ、あ、あ・・・・・・このまま壊せよ・・・・」
「いやだ。お前は俺のものになるんだろう?」
「あーー!!」

真っ白になっていく思考の中で、真麻に抱かれているという実感だけが残る。体温が伝わってくる。

ああ、命つきるなら、今この瞬間がいいと白桜は思った。

朝も昼も夜も関係なく、体を貪り続けあって、流石に疲れた。
「もう、許して」
「白桜」
「もういやっ。もう許して・・・・」
後ろから突き上げられて、それでも白桜は敏感に反応した。
もう体の中は真麻の体液でぐちゃぐちゃだ。
「んっ」
ずるっと引き抜かれていく感触がわかる。
ぼたぼたと、結合部から大量の真麻の体液が流れ出る。

「白い王になれ、白桜。名前の由来の通り。俺だけの王に」
「ああああっ」
びくんと、汚れたシーツを足の爪でひっかいて、完全に白桜は意識を失った。

「太陽国の王子たる俺を支配する王になれ、白桜。枢機卿の身分などもうどうでもいい。帰郷しよう、一緒に」
真麻は、硝子瓶から水を飲み干すと、もう誰のものにもならない白桜を蹂躙したことに、少し自嘲気味に笑ってから、赤く晴れた目元に接吻した。
とても優しく。


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